現存する『輸出送状綴込』は全16冊であることが分かっています(2012年12月現在)。うち、2冊はノリタケの本社に所蔵されています。
また、森村組は、陶磁器以外にも実に多様な雑貨品を多く扱っていました。例えば、箪笥、椅子、バスケット、万国旗、傘、紙ナプキンなどです。今回は『明治四拾年度 京都店見本送状』(写真:上)の中から、面白いものを二つご紹介いたします。
ひとつは、イースターグッズです。明治の日本がイースターグッズを輸出していたのかと驚かれるかもしれませんが、(写真:中)はシュロ縄を編んで作られた可愛らしい入れ物です(明治40年2月2日出帆)。形はハート、ダイヤ、クローバー、スペードの4種1セットで、装飾として「兎」、「黄色ヒナ」、「鶏」、「白小ヒナ」が付いており、イースターにちなんだものであることが分かります。 製造人は「神内」と記されています。この製品の現物が残っていたら大変興味深いのですが、残念ながら現在のところ手掛かりはありません。
もうひとつは、バラエティ豊かなステッキの頭部です。(写真:下)「陶犬ノ首」は、明治40年6月22日出帆のものです。これは犬の頭の形をしていますが、他にも猿や馬、婦人の頭を模したものまで見られます。また「大形」と「小形」があり、原価も若干違います。こちらの製造人は「小嶌」となっています。
今給黎佳菜(博士、お茶の水女子大学修了)