世界最大級のセラミックス企業集団である森村グループのルーツは、1876(明治9)年、森村市左衛門と森村豊の兄弟が設立したわが国最初期の貿易商社森村組にあります。企業体としてこの森村組の直系の流れを受け継いでいるのが、森村商事株式会社です。
明治期に陶磁器や雑貨の対米輸出で大きく発展した森村組は、陶磁器の製造工程に踏み込み、1904年1月、日本陶器合名会社 (のち日本陶器(株)、現ノリタケ(株))を設立しました。その後、1917年5月には日本陶器(株)の衛生陶器部門を分離して東洋陶器(株)(現TOTO(株))が、ついで1919年5月には碍子部門を分離して日本碍子(株)(現日本ガイシ(株))が設立されました。さらに、1919年5月に大倉陶園(現(株)大倉陶園)、1936年10月に日本特殊陶業(株)(日本ガイシNGK点火栓部門等より分離独立)が設立されました。
このような「一業一社」の精神は、市左衛門の「いかなる事業も二兎は追わずに一つの経営に専心すべき」との経営理念が今日のグループ内にも息づいているものと言えます。
1998年の4月、草思社から砂川幸雄著「森村市左衛門の無欲の生涯」が出版されました。
森村グループ形成の裏には、いったいどんな秘密が、どんな歴史があったのか。グループ形成の核になった森村市左衛門とは、いったいどのような人物で、どのような社会的貢献をした人なのか。
これまで一般にはほとんど知られていなかったその崇高な精神と卓越した経営手法とおどろくほど強靭な生き方とが、具体的に生き生きと描かれています。
定価2,000円。