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「森村商事所蔵の歴史的資料について」お茶の水女子大学院博士後期課程 今給黎 佳菜様(いまきいれ かな)

「森村商事所蔵の歴史的資料について」

私はお茶の水女子大学大学院で歴史学を専攻しており、近代日本の陶磁器輸出について調べるため、3~4年前から森村商事様ご所蔵の歴史的資料を調査させて頂いています。企業によっては内部資料の閲覧が難しいところもある中、こちらでは初めから快く閲覧をお許しくださり大変感謝しております。

貴社所蔵の歴史的資料は全7箱に渡り、かなり良好な状態で現存しています。明治時代のものも多く存在し(最も古いもので明治7年)、初期森村組について知る上では国内唯一の一次史料と言えると思います。

なかでも私が注目しているのは、森村組時代に主にアメリカに向けて輸出した製品の記録である『輸出送状綴込』です。年代は明治25年から40年頃までで、紐綴じの簿冊形態で全15冊残されています(神戸・京都・名古屋支店分も含む)。輸出製品の内容は、陶磁器・漆器・銅器・扇子・屏風・玩具など実に多様で、眺めているだけでもとても面白い史料です。また、輸出された年月日や船名、製品の製造元・形状・デザイン・価格・数量なども詳細に知ることができます。例えば、横浜で薩摩焼風の陶磁器を生産・販売していた「保土田商店」の名前が見られます。この業者については実態がよく分かっていないので、森村組がその陶磁器製品の輸出を担っていたという事実はとても興味深い発見でした。 このような歴史的資料は、社史を明らかにする上で重要なソースとなることはもちろん、近年企業アーカイブの重要性が日本でも高まっていることを鑑みても、今後適切な形で整理・保存・公開がなされていく必要があると思います。また、明治初期からグローバルに展開していた森村組に関する資料は、今後は国内のみならず海外の研究者からの需要も増えていくことでしょう。その整理保存の進展を心より期待するとともに、私もできる限りお役に立つことができれば幸いです。

 

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